錦鯉の専門知識講座第4回は「紅」についてです。
皆さんがよくイメージされる錦鯉の代表は紅白と呼ばれる品種かと思います。
この紅白の赤色の部分を「紅」、白色の部分を「白地」と言います。
「紅」を構成するのは赤色の鱗で、「緋盤」とも呼ばれています。
錦鯉を評価する上で、「紅」は非常に重要な要素であり、同じ「紅」でも質の良し悪しが存在します。
模様
錦鯉はそれぞれ個々の特徴的な模様を持っており、世界に1匹たりとも同じ鯉は存在しません。これが錦鯉の魅力の一つです。
代表的な錦鯉の模様を見てきましょう。
稲妻紅白
2段ではあるが3段でもあるバランスのとれた素晴らしい模様。
稲妻のような「紅」模様が特徴。
3段紅白(靴べら3段模様)
オーソドックスではあるが、背中の大きな白地がこの鯉の見せ場になってくる。
模様が重くもなく軽くもなく素晴らしい3段模様である。
4段紅白
ユニークでバランス良く配置された「紅」の隙間に白地を見せて、4段でありながら尾止めの上品な白地が特徴の紅白。
大きくなるにつれて風格ある鯉になりそうな鯉です。
丹頂紅白
鳥の丹頂のように頭にのみ「紅」を持った品種。
丹(頭の「紅」)全体が厚みのある「紅」で白地も良いです。
丹頂紅白は丹の模様だけでなく白地の良さが非常に大事になってきます。
丹の模様がよくても肌質が薄かったり黄ばみが強かったりすると良くありません。
大型の丹頂紅白は白地が良い鯉が目をひきます。
色
同じ「紅」でもいろんな色が存在します。
基本的に「紅」は赤色ですが、同じ赤色でも赤色の強い「紅」をはじめ黄色の強い柿色や朱色、ピンク色など様々な色の「紅」が存在します。
これらは成長に伴って変化していくこともあり、錦鯉の評価を左右するだけでなく、将来性を見極める上でも非常に重要な要素となります。
固さ
「紅」には固さがあります。
固い「紅」は若いうちに綺麗に仕上がりますが、将来緋盤が汚くなってしまったり、消えてしまったりすることが多いと言われています。
逆に柔らかい「紅」は若いうちはあまり美しくありませんが、成長に伴ってより綺麗になり、汚くなりにくく消えてしまいにくいという特徴を持ちます。
ツヤとテリ
「ツヤ」の良い紅は「ツヤ紅」と呼ばれ、それぞれの鯉が持つ潜在能力、個々の特質です。
文章では伝わりづらく、固体を見た方が分かりやすいですが、私の思う良い「紅」は明るい赤色でイチゴゼリーのような透明感のある赤です。真っ赤でドス黒い赤ではありません。また、朱色系の紅は艶がないように思います。
実際に見るとピカピカしており、驚くほど綺麗だと感じるはずです。
少し違う種類の良い「紅」についても話しておくと、濃い柿色で真っ赤ではないが厚みのある柿色「紅」も美しいと思います。一方、薄い黄色が強い紅は良い「紅」とは言えません。
また、ピンク色が強い「ピンク紅」は珍しく、仕上がった時はとてもあざやかで目を引きます。
この様な質の良い「紅」には「ツヤ紅」が多いように思います。
「ツヤ紅」は親鯉の血統が受け継がれることが多いです。
テリは飼育環境や鯉の体調、与えるエサなどで変化するもので、ヌメりとも言います。
健康的な鯉の体表は良いぬめりが出ていることが多いです。
「紅」一つとっても奥が深く、最も鯉の印象を左右する部分でもあるのでぜひいろんな鯉の「紅」をご覧になってください。